ここは今から倫理です。 その1
──倫理は学ばなくても将来困ることはほぼ無い学問です
あなたは倫理とは何か?と問われて即答できるだろうか。かつての私は「道徳的な…なんかそれっに類するっぽいの」というあやふやな回答しか出来なかった。この漫画を読んだ今の私は「人のよい生き方」と答える。『ここは今から倫理です。』は高校の選択授業で倫理を教える教師・高柳とその生徒たちの物語だ。高校3年生、18歳という子供と大人の境界線上にいる生徒たちは様々な悩みや問題を抱えている。あるいはそれらを明文化できないままなんとなく居心地悪く生きている生徒たちもいる。それに対し、倫理を用いて向き合っていくのが高柳だ。物語は勉学に不真面目な生徒・逢沢いち子が空き教室で友人とセックスをしている現場を教師・高柳に見られてしまったところから始まる。
1話冒頭からセックスシーンだぞ!こういうの、初見かつ外で読んでた時どういう顔していいのかわかんない!
高柳は無表情を崩さず「真剣なお付き合いなら結構。ただ時間と場所が悪い」と言うだけだった。いち子はそんな高柳に興味を持ち、色仕掛けをする。高柳は教卓の上で股を広げて誘惑するいち子の手を引いて降ろすと「教養がある女性がタイプです」と去るのだった。
私、いち子が「ねぇ先生カノジョいる?」って訊くまで高柳先生女だと思ってたんですけど!だってなんか胸があるように見えるし!立ち方がやたらとセクシィだし!やめろやめろ、陰のある色っぽい男は私の好みなんだ!やめろォ!
↑ほら、女って言っても通じるセクシィさでしょ!まさか伏線じゃないだろうな…。
高柳にフラれたいち子だったが、まだ残るほのかな恋心と見返したい気持ちで勉強を始める。その所為で悪友たちとは付き合いが悪くなり、ヤラせてくれなくなったいち子に業を煮やした男たちはいち子をレイプしようとするが、危機一髪のところで高柳がそれを阻止した。高柳は言う。「貴方が倫理の授業を選んでくれてよかった。背や頭を撫でて慰めることはセクハラになるからできないが、貴方の言葉を聞き貴方の心に触れ慰める事は出来る」と。
過去に教卓から下ろした時に触ったじゃんといち子に指摘された高柳。
は???ドストライクなんですけど???
普段クールなキャラがふいにかわいいところを見せるという正統派のツンデレに負けるのは久しぶりだぜ…!!
いち子は思わず叫ぶ。「あたしやっぱせんせが好き!いっぱい勉強する、絶対せんせの事諦めないから!!」と。高柳は「”愛こそ貧しい知識から豊かな知識への架け橋である” マックス・シェーラー」と呟いた。「ではまた倫理の時間に会いましょう」。
高柳はクールに去るぜ。この本読んでると哲学者や倫理学者の名言に詳しくなれそう。フランシス・ベーコンの”なんといっても最上の証明は経験だ”ってリアルで使ってみたくなる。
高柳は言う。「この授業で得た知識が役に立つ仕事はほぼ無い。この知識が役に立つ場面があるとすれば、死が近づいた時、信じられるものがなくなった時、人間関係がうまくいかない時、悩みが絶えず苦しい時、性別に苦しめられる時、死にたいと思った時…。別に知らなくてもいいけれど知っておいた方がいい気はしませんか」と。生き方に悩んでいる人はこの漫画を読んでみて欲しい。きっと何かのヒントが見つかるから。また悩んでいない人にも読んで欲しい。きっと悩んでいる人にかける言葉が見つかるから。そんなわけでこの漫画もイチオシ!(σ・∀・)σ