フラジャイル 病理医岸京一郎の所見 その1
病理医は体の中で何が起きているのかを調べる
他科の臨床医と対立することはあっても患者に感謝されることはない
この漫画に出会うまで知りませんでした、病理医と検査技師のこと。親戚のお姉ちゃんが検査技師になったという話を聞いても、県鷺師?鷺の繁殖でもしてるのかなって感じで…まぁ小学生の頃の発想だから許してw
コロナ災禍の今、危険で大変な仕事をしていることでしょう。ありがとうございます。
病理医岸京一郎は譲らない
神経内科医として働く2年目ドクターの宮崎千尋は、カンファの場で指導医の診断に疑問を抱く。ただ明確な反論材料が無く、まごまごしている間に問題なしの方向でカンファが終わってしまう…寸前で、1人の男が声を上げた。「いやぁすごいね 僕にも教えてよ!」と。その男は病理医の岸京一郎。その診断がつくなら自分の知らない臨床的根拠が出たということだ、教えてくれと言っているのだ。岸は反論してくる医師たちを論破し、追加検査を取り付けた。
これだけ見ると悪役に見えるな…主人公のやることに嫌味言ってくるライバル的なw
この壮望会第一総合病院のスタイルとしては、過度な検査はコストが掛かるし、診療報酬明細に言い訳がつかないものはやりたくないとのこと。医療費の健康保険分は国から払って貰うので、余計な検査でしょって問い詰められたら困るということなんだろう。あるいは患者からも文句がつくこともあるかもしれない。これが自分のケースだったらどうなんだろうと不安になる。根拠もなく大丈夫だろうって流されるくらいなら精密検査して欲しいけど、病院自体が検査しないって決めてくるんだもんなぁ。
カンファの後、岸を尋ねる宮崎。診断に疑問を持っているのは自分と岸だけなので力を貸して欲しいと言う。岸は言う。「僕は診断が乱暴だとは言ったが違うとは言っていない」「病気には必ず原因と機序があるという大前提を無視しやがるから」「それは僕の仕事を軽んじていることにほかならない」と。続けてお前が自分で指導医に注進しなかったのは自分の立場の心配しかしていないからだ、と言う。宮崎はぐうの音も出ない。そのやりとりを見ていた検査技師の森井久志が助け舟を出す。「しかしその患者は何で話したがらないんでしょうね?普通患者ってのはあそこが痛いここが苦しいって聞いてもいないことまで言うでしょ」。
森井くん流の岸先生のノせ方。原因は何でしょうねって訊くと岸先生はノッてくるぞ。
上手くノせられた岸は1つの可能性を思いつく。それは緊急の検査を要するのだが、それを担当医と部長に認めさせることができるのか?と宮崎は問われる。岸は煽る。「どうせならキレイに跳んでみせろ」と。宮崎は指導医のPCに不正ログインし検査要項を書き換えて、その結果患者は救われた。
この時宮崎先生はものすごーく葛藤するんだけど、患者の顔を思い浮かべて「医者なんていつでも辞めてやるわ」って言っちゃうんだよね。私だったら医者になるまでの過程を考えたらたった1人の他人のためにここまで決断できないと思う。っていうか、指導医の南波先生はホントは話がわかる先生だったのでちゃんと話せばこんな犯罪しなくて良かったっていうね…w
翌日宮崎は病理部の扉を叩いていた。そして自分を病理に入れてくれと頼む。岸は焦りながら嫌だと断ったが、宮崎は頑として退かなかった。
国内の病理専門医の割合は医者全体の中で1%にも満たないらしい…。読み進めればわかるけれど、なんだかんだ言って嬉しかったんじゃないかな、岸先生。
新米病理医・宮崎千尋
病理医としての初日、右も左も分からない宮崎は岸にプレパラートを渡される。「この細胞が何の疾患だかわからないなら病理医なんて目指しても無駄だ」と。課題を出すだけで全く指導してくれない岸の代わりに、検査技師の森井に色々と教わる宮崎。必死に昼夜考えても答えが出せないままだった。その時宮崎は気づく。データは助けてくれないと。
病理医って本当に責任重大なんだなぁ…プレッシャーが半端なさそう…。
翌日、診断をつけることができなかったと岸に頭を下げる宮崎。岸はそれが正解だと告げる。そして問うのだ。あるのは責任だけ、誰も助けてくれない、それでも病理医になるのかと。宮崎は自分で決めたことだと答えた。
がんばれ、宮崎先生!岸先生はこんな顔してるけどきっと喜んでるぞ!
こんな感じで始まったフラジャイル。漫画界は外科医モノばっかりだから、病理医モノは新鮮で興味深い。それに岸先生がばっさばっさと理屈に合わないことを切っていく様が爽快なんだよなぁ。病理医の視点から描かれる一味違う医療漫画、イチオシだ!(σ・∀・)σ
おまけ
自分の診断にケチを付けた医者に殴り込みに行くために圧力鍋で武装する岸先生。
↓その後院長の机の上に圧力鍋が…どう使ったんだ、一体w
この顔よw